「 左右 (さゆう)」は自然に言えるのに、「右左(うさ)」とは言わない。
日常で当たり前に使っている言葉なのに、よく考えると不思議ですよね。
実はこれ、日本語の歴史・文化・身体感覚が深く関わっています。
この記事では、「 左右 はなぜ左が先なのか?」という素朴な疑問を、やさしく整理していきます。
1. 日本語では“左 → 右”の順番が基本だった
まず大前提として、日本語の多くの表現は 左が先・右が後 という並びが基本です。
- 左右(さゆう)
- 左右対称
- 左折・右折(案内では左が先に来ることが多い)
- 左手・右手(古語では左手=ひだりて、右手=みぎて)
これは偶然ではなく、古代中国の思想(陰陽思想)と日本の宮廷文化の影響が大きいと言われています。
陰陽思想では「左」が上位
陰陽思想では、
- 左=陽(上位・明るい・尊い)
- 右=陰(下位・控えめ)
とされていました。
そのため、古代の儀式や文書では 左が先・右が後 が基本ルール。
日本語もその影響を強く受けています。
2. “右左”が言いにくいのは、発音のリズムの問題
「右左(みぎひだり)」は、実は発音のリズムが悪いという問題もあります。
- みぎ(2拍)
- ひだり(3拍)
この 2拍 → 3拍 の並びは、言語学的に“重くなる方向”で、語順として採用されにくい傾向があります。
一方、
- ひだり(3拍)
- みぎ(2拍)
の 3拍 → 2拍 は、語感としてスッと収まりやすい。
だから「左右(さゆう)」は自然でも、「右左(うさ)」は定着しなかったわけです。
3. 人間の身体感覚として“左が基準”になりやすい
もうひとつの理由は、人間の身体の使い方です。
- 多くの人は右利き
- 右手は“動かす手”
- 左手は“支える手・基準の手”
このため、動作の説明では 左(基準)→右(動作) の順で語るほうが自然になります。
例:
- 左を向いてから右を見る
- 左足で踏ん張って右足を出す
言語は身体感覚と深く結びついているため、自然と「左 → 右」の順が定着していきました。
4. 文化・歴史・発音・身体感覚が重なって「左右」になった
ここまでの理由をまとめると、左右の順番は次の4つが重なって生まれたものです。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| ① 歴史・思想 | 陰陽思想で左が上位とされた |
| ② 宮廷文化 | 左大臣が右大臣より上位など、左が先の文化 |
| ③ 発音のリズム | 3拍→2拍のほうが自然で言いやすい |
| ④ 身体感覚 | 左が“基準”、右が“動作”として語られやすい |
これらが積み重なり、
「左右」は自然、でも「右左」は出てこない
という現象が生まれたわけです。
まとめ
普段何気なく使っている「 左右 」という言葉にも、
歴史・文化・身体感覚が静かに息づいています。
言葉の順番ひとつにも、
“なんとなく”ではなく、ちゃんと理由がある。
そんな視点で日常の言葉を見てみると、
世界が少しだけ面白く、やさしく見えてきます。

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