日本語の野球用語には、意外と“漢字の美学”が潜んでいる。
特に目を引くのが、ファールフライの表記。
・外野手がファウルゾーンで捕球したら → 「 邪飛 (じゃひ)」
・キャッチャーがファウルフライを捕ったら → 「捕飛(ほひ)」
えっ、“邪”?なんでそんな物騒な漢字なの…?
「邪飛」という表現に込められた意味
「邪」は一般的に“よこしま”とか“正しくない方向”という意味。
つまり、打球が本来あるべきフェアゾーンではなく、外れてしまった場所に飛んだというニュアンスがある。
それを捕るということは、「正道から外れたボールをあえて拾いにいった」ということ。
そこにはある種のストイックさと、技術的挑戦が込められているのかもしれない。
では、キャッチャーはなぜ「捕飛」?
キャッチャーフライはそのまま「捕=捕る」「飛=飛球」。
とてもシンプルな構成で、特別なニュアンスを込める余白がない。
これは、キャッチャーの役割が守備の中心であり、フェアゾーンとファウルゾーンの境界に立っているような存在だからかもしれない。
つまり、キャッチャーがファウルフライを捕ることは「邪」に属さず、「当たり前の仕事」なのだ。
まとめ
この違いにこそ、日本語の面白さがある。
同じようなプレーでも、“誰が、どこで、どう捕るか”によって、表記が変わる。
その背景には、漢字による物語性の付加があるのではないか。
「 邪飛 」は、
✔ フェアから外れた打球
✔ 技術が問われる守備
✔ 一歩踏み込んだ“拾う”行為
そんな多層的な意味を一文字で表した、
日本語と野球が融合した美しい言葉遊びなのかもしれません。
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