「 天津甘栗 」には天津の栗が使われていない──真面目な商標が生んだ甘い誤解

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パッケージの「天津港」表示から始まった誤解
戦後間もなく、日本に輸入される中国産の甘栗の多くが天津港を経由して出荷されました。
輸入業者はその事実をもとに「天津港甘栗」あるいは「 天津甘栗 」と記載した──それはただの流通の事実。

しかし、その表示を見た日本人の多くが、天津=栗の産地と誤解。
そして今では「 天津甘栗 」と言えば“天津で採れた栗を使った名物”というイメージが定着してしまっている。

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実際の産地はどこ?

・河北省、山西省、河南省など、中国内陸部が主な栗の産地
・天津は輸出港に過ぎず、栗は育たない地域
・「天津甘栗」は“天津産”ではなく“天津経由”──まさに物流の話でしかない

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誤解がなぜ定着したのか?

要因 内容
表記の曖昧さ 「天津甘栗」という表現だけでは産地か経由地かわからない
ブランド化 天津の名がつくことで“異国感”と“本場っぽさ”が演出される
説明不足 商品パッケージや広告が詳細な産地情報を載せず、“雰囲気”で済ませる
思い込みの連鎖 「中国=天津=栗」みたいな構造が無意識に成立してしまう
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ラベリングと文化のズレ

天津甘栗の例は、商業の正確さと消費者の認識との間にあるギャップの危うさを示している。
あるいはそれは、企業が“説明しない自由”を行使しすぎた結果とも言える。

この「甘い誤解」は、食文化における名前の重み、そしてそれが生む認識のズレ=文化的ミスリードを物語っている。

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まとめ

「天津甘栗」は、日本人の舌に馴染んだ中国の味。
だけどその“天津”という名前は、私たち自身の文化理解の浅さを映し出す鏡かもしれない。

本場の味を追い求めるのもよし。
でも名前の背景を知ることで、いつもの甘栗がほんの少し深みを持つ──
それもまた、文化とのおいしい対話の始まりではないでしょうか。

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